《ポエカフェ:春の出張篇》 4/15(土) 第94回 ポエトリーカフェ:山村暮鳥 篇 @ 向島/甘夏書店

Pippoさんが甘夏書店にやってくる!
詩ってちょっと興味がある、という人から相当読み込んでいる方や自分でも詩を作る方まで、いろんな方が参加しているポエトリーカフェ。近現代詩に気軽に近づき、しみじみ味わえる会です。神保町の老舗カフェ、神楽坂の出版社、京都の古書店などで開催されています。敷居が低いけど気がついたら濃密な時間を過ごしている・・・といった感じです。
昨年、いえもう少し前から古本仲間のうららさんがお声かけしてくださり、このたび甘夏書店にて開催していただくことになりました。私がはじめて古書というものに触れて、父から詩のおもしろさを教わったのが山村暮鳥の「いちめんのなのはな」。ちょうど季節も春。
ぜひご一緒しましょう。ikkAさんの全面的なバックアップもあり、おいしいお茶付です。


以下、Pippoさんのブログ「ぴっぽのしっぽ」より転載

《ポエカフェ:春の出張篇》 4/15(土) 第94回 ポエトリーカフェ:山村暮鳥 篇 @ 向島/甘夏書店


山村暮鳥  /詩人・童話作家 (1884- 1924/明治17−大正13)
群馬県西群馬郡棟高村生まれ

山村暮鳥をしっていますか。
「おうい雲よ ゆうゆうと馬鹿にのんきそうじゃないか」
眼前に黃の菜の花畑がうわっと広がるような「いちめんのなのはな」、などの詩句をおぼえてらっしゃるかたも多いのではないでしょうか。

中期〜晩年の素朴でやさしげな詩がよく知られているせいか、一見、牧歌的なイメージをもたれがちな暮鳥ですが。

貧しさや病気といった困難のなか、各地でキリスト教の伝道活動にはげみ。町の相談役としても東奔西走しながら、ひたむきに詩作・創作をつづけた、熱き信念の詩人です。

暮鳥が、四十歳でこの世をさって九三年――およそ百年のいま。
かれの詩とひとに、みなでふれてみませんか。


《イベント詳細》
▶日時  2017年4月15日(土)13:00〜15:30 /定員 16名 参加費 2000円(お茶付き)
▶内容  Pippoによる詩人の生涯紹介。ご参加の方々によるくじ引き朗読。 茶話会。※年譜・テキスト配布します 
▶場所  ikkA ギャラリー+甘夏書店/
    (東京都墨田区向島3-6-5 一軒家カフェikkA 2階 
     03-5637-8773) 
▶お申込 pippoさんのブログのお申し込みフォーム、あるいは、甘夏書店まで


《詩をチョコっとご紹介♪》
「氣稟」

鴉は
木に眠り

豆は
莢の中

秋の日の
眞實

丘の畑
きんいろ。


「風景  純銀もざいく

いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
かすかなるむぎぶえ
いちめんのなのはな

いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
ひばりのおしやべり
いちめんのなのはな

いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
やめるはひるのつき
いちめんのなのはな。


「囈語(げいご)」

竊盜(せっとう)金魚
強盜喇叭(らっぱ)
恐喝胡弓(こきゅう)
賭博ねこ
詐欺更紗(さらさ)
涜職(とくしょく)天鵞絨(びらうど)
姦淫林檎
傷害雲雀(ひばり)
殺人ちゆりつぷ
墮胎(だたい)陰影
騷擾(そうじょう)ゆき
放火まるめろ
誘拐かすてえら。

(詩集『聖三稜玻璃』)

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「歓楽の詩」

ひまはりはぐるぐるめぐる
火のやうにぐるぐるめぐる
自分の目も一しよになつてぐるぐるめぐる
自分の目がぐるぐるめぐれば
いよいよはげしく
ひまはりはぐるぐるめぐる
ひまはりがぐるぐるめぐれば
自分の目はまつたく暈(くら)み
此の全世界がぐるぐるとめぐりはじめる
ああ!

(詩集『風は草木にささやいた』)


「春」

なぎさで網を引いてゐる
みろ、のんきさうにひいてゐるではないか
をとこたちがひいてゐる
をんなたちもひいてゐる
こどもらもそれにまじつて
みんなでひいてゐる
ぼんやりとねむさうだな
網はみえない
おい、網を引いてゐるのかい
海を
つなで
ながいつなで
ひきよせてゐるやうにみえるな
ゆめのなかで、おい
蒼空のやうな海を
ひきよせてゐるやうにみえるな

(詩集『梢の巣にて』)
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「雲」

丘の上で
としよりと
こどもと
うつとりと雲を
ながめてゐる


「おなじく」

おうい雲よ
いういうと
馬鹿にのんきさうぢやないか
どこまでゆくんだ
ずつと磐城平(いはきたひら)の方までゆくんか
 

「朝顏」

瞬間とは
かうもたふといものであらうか
一りんの朝顏よ
二日頃の月がでてゐる

(詩集『雲』)

課題図書  (予習は必須ではありませんが、読んでおきたい、という方は、書店・図書館・古本屋などで、ご入手できるかとおもいます〜)
 
 『雲』(愛蔵版詩集シリーズ) 『山村暮鳥詩集』(小沢書店)
 『山村暮鳥全詩集』  他、童話屋のポケットサイズシリーズ
 「青空文庫」でも、よめるものがあります。